口臭には、主に生理的口臭と病的口臭の2種類があります。
生理的口臭はどなたにでもある自然な口臭です。
生理的口臭と病的口臭
＜生理的口臭＞
生理的口臭はどなたにでもある自然な口臭です。生理上避けられないものなのであまり神経質になる必要はなく、他人を嫌な思いをさせないように気をつけられる程度であれば大丈夫です。
主に口内の乾燥によって起きることが多く、口呼吸が大きく関係しています。
代表的な例として、朝起きた時の口臭があります。
就寝時に口呼吸をすると次のようなリスクがあり、口臭が強く出やすくなります。
・口内の乾燥
・歯肉炎と歯周病菌の増加
・唾液の分泌量の減少
それに対して鼻呼吸には以下のような利点があり、新型コロナウイルスの感染予防にも、口臭を抑えることにも鼻呼吸は効果的です。
・天空気清浄機
・加湿器
・細菌を防ぐフィルター
口呼吸の原因は扁桃腺肥大、睡眠時無呼吸症候群、アレルギー性鼻炎・鼻づまり、いびきのほか、口周りの筋肉が落ちることなどが考えられえます。放置せず、早期に専門家にご相談ください。
この他に、空腹時の口臭、緊張時、体調やホルモンバランスの変化などによっても、唾液の分泌が少なくなり口臭が強くなることがあります。
＜病的な口臭＞
病的な口臭とは、生理的口臭とは異なりにおいが強く、時に周囲に不快な思いをさせてしまうことがあります。
原因は胃・腸など内臓消化器系の病気、口の中では、虫歯、適合の悪い被せものをしている場合がありますが、最近の研究によるとその多くは口内の病気によることがわかっています。最も口臭の原因となりやすいのは、虫歯と歯周病です。
虫歯や歯茎が腫れている人は、口臭が強い場合が多いです。歯科医院できちんと歯科治療、歯周治療をすることによって口内環境を改善し、口臭を抑えることが出来ます。
口腔内のトラブルと口臭
歯周病
歯の周りには、歯肉に覆われた歯周ポケットが存在しています。
歯周病が進行していくと、どんどんこの歯周ポケットが深くなっていきます。そこに歯垢（プラーク）や歯石が溜まってしまうのですが、これは通常の歯磨きでは落ちません。
この溜まった歯垢などをエネルギーとして、硫化水素やメチルメルカプタンなどを含む歯周病を引き起こす細菌が、口臭の原因となるガス（揮発性硫黄化合物）を生成します。これが歯周病による口臭の原因です。
このように歯周病の進行は、口臭の原因物質となる細菌が匂いを出し続ける最高の環境を与えてしまうことになるのです。さらに歯周病が進行して歯槽膿漏になると、膿による口臭も深刻になります。
虫歯、古い詰め物、被せ物による口臭
虫歯が進行し、虫歯菌が歯の根っこまで到達してしまうと、その先の歯周組織が膿んでしまうことがあります。そうなると歯槽膿漏と同様に、膿による口臭が強くなります。
また、保険診療にて取り付けた古い金属の詰め物や被せ物は、劣化による虫歯再発リスクが高く、口臭の原因となる場合があります。痛みが無く自分では気が付きにくいので、定期健診によって気が付くことが多いようです。
舌苔による口臭
こちらはいわゆる生理的口臭の原因となるものです。
舌苔（ぜったい）とは舌の表面についた白い苔のようなもので、様々な細菌や食べ物の残りかす、ご自身の口腔内の古い細胞などが舌に付着したものです。歯垢と同じような細菌の固まりです。
舌苔はどんな人にもありますが、増えてしまうと口臭を引き起こします。
その原因として、食べ物を噛む回数が少ないこと、唾液の分泌が少ないことが挙げられます。食事の際に食べ物をしっかり噛んで飲み込むことにより、意識しないうちに舌は綺麗になります。
また、しっかり噛むことに伴う唾液の分泌も重要です。唾液は舌を綺麗にするだけでなく、細菌の活動を抑制する効果もあります。
健康な歯を失いしっかり噛めなくなることは、舌苔の蓄積を増進させ、口臭を引き起こす負の連鎖となるのです。
口臭を防ぐには
口臭の予防法として
①毎食後に歯ブラシをする
朝昼晩、毎食後の歯磨きをして原因となる歯周病や虫歯の発生を抑えるためことが大切です。
朝も夜も繰り返し綺麗にすることによって、口臭を抑えることが出来るようになります。
②夜寝る前の歯磨きを特に重点的に行う
夜は殺菌性のある唾液が減るので、歯周病菌、虫歯菌が増えます。歯間ブラシ・タフトブラシなど歯磨きの補助器具を使うのもおすすめです。歯だけでなく、歯肉、舌苔などの汚れを取るとよいです。
③口呼吸を鼻呼吸に改善する
口呼吸の方ですと、寝ている間に口の中が乾いてしまうので口内環境が悪化し、ニオイが出てしまうので避けたいところです。
（とはいえ急に治せるものでもありませんので、寝る前には特にていねいに口の中を綺麗にして、細菌のエネルギーとなる食べかすなどを無くす努力をしましょう。）
③ドライマウスに気を付ける
また、唾液の分泌が少なくなるドライマウスも口臭を助長します。ドライマウスは口臭以外にも様々な弊害がありますし、特に高齢の方は感染症や嚥下機能低下となる可能性もあるので、放置すべきではありません。糖尿病や腎臓疾患と関連している場合もありますので、歯科医院以外の医療機関での受診検討もお勧めします。
予防歯科は口臭対策にも有効です
口臭の対策には、その原因となる歯周病を防ぎ、虫歯にならないようしっかりと歯を磨くことが第一です。
しかし、歯周ポケットに入ってしまった歯垢の中の細菌や、歯石やバイオフィルム（細菌の集合体）等をしっかり落とすことは、ご家庭では困難です。歯周病や虫歯の予防には歯科衛生士による定期的な予防ケアが必要となってきます。
特に歯周病は、糖尿病や認知症などの全身疾患と密接に関係しているため、生活習慣とともに改善することで計り知れないメリットがあります。また、妊娠中の女性はホルモンバランスの乱れから歯周病になりやすく、早産のリスクも高まるという報告があります。胎児のためにも歯周病対策・予防歯科は大切です。
＼予防歯科で口臭も防ぎましょう／
口臭を防ぐためには、ご家庭での歯磨きだけでなく、予防歯科を含む歯科診療の力が欠かせません。歯科医師による歯科検診で口腔内の状況を定期的にチェックすることも重要です。
当院では、特殊な器具と技術によりプラーク（歯垢）や歯石を取り除くことができます。また、日々の歯ブラシの使い方や歯磨きについてもアドバイスをさせていただいております。
小さい頃からの予防歯科にも力を入れており、歯磨きの小児歯科や、矯正歯科を受診されているお子様にも対応した治療内容となっております。是非ご利用下さい。
口臭に関するQ&A
Q．マスクをつける時間が長くなってから、口臭が気になるようになりました。匂いの原因は何でしょうか？
A．歯肉の炎症、歯周病が原因の場合が多いです。胃や腸などの内臓疾患が原因なこともあるため、気になる方は消化器科や呼吸器系など受診の検討もおすすめします。
Q．口臭予防のセルフケアとしてできることを教えてください。
A．口内の乾燥を防ぐこと。歯周病菌を減らすこと。
唾液が少なく口内が乾燥している場合、例えばキシリトール100％配合のガムをかむと、唾液の量が増えるため、口臭の予防になります。水分をこまめに取ることも効果があります。舌苔の除去のための舌ブラシも効果があります。
